huuchiの音楽論文案内

音楽関連の論文案内ツイートを記事にまとめています。過去ツイも順次追加中。

ヒト声帯黄斑の機能―ヒトはなぜ一生発声できるのか―

 

『ヒト声帯黄斑の機能―ヒトはなぜ一生発声できるのか―』

www.jstage.jst.go.jp

 

 

“ヒト声帯の粘膜固有層浅層(ラインケ腔)には,振動を妨げる腺組織はなく 9,10),分布する血管は主に毛細血管であり11),線維芽細胞などの間質細胞は疎であり,声帯振動に有利な構造を取っている”


“新生児の声帯は層構造をもたず成人の声帯とは構造が異なる 2,15).思春期頃にヒト声帯の層構造が完成する”


“粘弾性をもったヒト声帯膜様部の粘膜固有層の前端と後端に存在する前黄斑と後黄斑は,比較的硬く振動しにくい組織構造を取っている”
“声帯振動の妨げになる特異的な組織構造物が,ヒト声帯膜様部粘膜の前端と後端に存在することは非常に興味深い”


“声帯黄斑は声帯膜様部の前端と後端に存在する(図1).ヒト声帯黄斑細胞と細胞外マトリックスの密な集塊で(図2,3),その大きさは約1.5×1.5×1 mm”


“前黄斑は前交連(anteriorcommissure tendon)を介して甲状軟骨に付着しており,後黄斑は披裂軟骨声帯突起に付着している(図1)2,27,28).成人では前黄斑と後黄斑の間に声帯靱帯が走行している”


“声帯黄斑内の声帯星細胞の細胞質には,タンパク質の産生に関与する粗面小胞体やゴルジ装置などの細胞内小器官が発達している(図4B).一方で声帯膜様部粘膜の線維芽細胞の細胞質にはこれらの細胞内小器官はあまり認めない→
→これらのことから声帯黄斑内の声帯星細胞ではタンパク質の合成が行われていることが示唆される.一方,声帯膜様部粘膜の線維芽細胞ではタンパク質の合成はあまり行われていないことが示唆される”


声帯星細胞の細胞質には,脂肪滴を認め,脂溶性ビタミンであるビタミンAが貯蔵されている(図4C).一方で声帯膜様部粘膜の線維芽細胞の細胞質には,ビタミンAを貯蔵した脂肪滴はない”


“ビタミンAは細胞の増殖,分化,組織形成,癌細胞の増殖抑制,分化誘導などにおいて強い活性をもつ脂溶性ビタミンであり,酵素の活性に影響を与え,グリコサミノグリカンの産生に関与している”


“ヒト声帯黄斑内の声帯星細胞の細胞質にビタミンAがなぜ貯蔵されているのか,ビタミンAはどんな役割を担っているのかは不明”


“声帯が損傷すると声帯の黄斑に存在するサイドポピュレーション細胞が声帯膜様部の損傷部へ遊走し,創傷治癒に伴って損傷部のサイドポピュレーション細胞は消失する”


“生後の発声,声帯振動による張力は,声帯膜様部の前端と後端に存在する黄斑内の声帯星細胞を刺激・活性化し,声帯層構造を構築するために必要な細胞外マトリックスの産生を促進し,→
→声帯靱帯,ラインケ腔などのヒト固有の声帯の層構造を構築・維持するという仮説,すなわち黄斑内の声帯星細胞のcellular mechanotransductionに基づいた仮説をわれわれは提唱している”


“この仮説を裏づけるように,生まれてから発声経験がない,あるいは長期間発声していない,すなわち声帯振動による張力の刺激を受けていない声帯では,形態学的に声帯黄斑内の声帯星細胞の活動性が低下しており,声帯粘膜はヒト固有の声帯粘膜の層構造をもっていない”

 


元ツイート:

 

 

この記事及び元ツイートは論文(の存在)を紹介するだけの簡単なものですので、詳しい内容についてはリンクから元の論文を参照してください。