『ピッチ跳躍の発声のための呼吸運動学と声門下圧の調節-ダイナミックMRI研究 』
プロ歌手はピッチ跳躍時に、横隔膜前部を安定させ胸郭をある程度一定に保ちつつ、横隔膜後部を使って声門下圧を細かく制御しているようだ。横隔膜後部の移動レンジは胸郭の4〜5倍、横隔膜前部の2倍。
プロ歌手7人のピッチ跳躍(高←1oct→中←1oct→低)時の呼吸運動をdynamicMRIで観察。同ピッチ持続発声(=呼気運動/通常、横隔膜は上昇・胸郭は下降する)と比較。
1.高音への跳躍では、同ピッチ持続発声より速く全体が上昇、声門下圧上昇。
2.低音への跳躍時は横隔膜全体の上昇速度が遅くなるか、特に横隔膜後部が下降し(吸気的な動き)、これにより横隔膜のドーム(diaphragm cupolas)の頂点は前方向へ移動、声門下圧を低下させている。一方で横隔膜前部と胸郭の通常の呼気運動は続行、横隔膜前部と後部で別の動きが生じている。
尚、歌手によっては高音への跳躍においても横隔膜を収縮させ、声門下圧を微調整(低下)しており、声門下圧制御の戦略の違いを感じさせる。
ツイート主による余談:
胸郭のサイズを変えることによっても声門下圧のコントロールは可能だが、横隔膜の方が動かせる範囲が広いため、プロは精緻な声門加圧コントロールのために横隔膜の動きをメインにしているのではないか(当然、胸郭も動いているが、コントロール上そちらはサブ)。
“プロでは音高に応じて横隔膜の上昇量を細かく制御する一方で胸郭は単調に収縮させていたが、アマでは逆に音高に応じて胸郭の収縮量を細かく制御し、横隔膜は単調に上昇させていた。これは、プロでは横隔膜の制御を意識し、アマでは胸郭の制御を意識していることを示唆すると考えられる。”
— 風地@毎日音楽の話を(も)しています (@huuchi) 2021年3月2日
元ツイート:
ピッチ跳躍の発声のための呼吸運動学と声門下圧の調節-ダイナミックMRI研究 https://t.co/CUJfBlZjvj
— 風地@毎日音楽の話を(も)しています (@huuchi) 2021年6月22日
プロ歌手はピッチ跳躍時に、横隔膜前部を安定させ胸郭をある程度一定に保ちつつ、横隔膜後部を使って声門下圧を細かく制御しているようだ。横隔膜後部の移動レンジは胸郭の4〜5倍、横隔膜前部の2倍。 pic.twitter.com/kvluW6WeiE
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