huuchiの音楽論文案内

音楽関連の論文案内ツイートを記事にまとめています。一部、論文化されていない研究の紹介も含みます。

イントネーションと性別認識:トランスジェンダー話者への応用

『イントネーションと性別認識:トランスジェンダー話者への応用』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

男性12人,女性12人,FTM6人,MTF14人の4群のイントネーションを比較調査。上昇調イントネーションの割合が高く、ピッチ範囲(半音に変換して計算)が広い話者は、聴取者から女性と認識された。


女性として認識されなかったMTF話者は、女性と認識されるMTF話者と比較して、上昇調イントネーションの使用頻度が低く、下降調イントネーションの使用頻度が高い傾向があった。


イントネーションは性別認識にある程度の影響を与えることができるため、トランスジェンダーのコミュニケーション療法において活用できる可能性がある。

 


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トランスジェンダー女性のためのピッチ調整法:外科的及び非外科的アプローチのシステマティックレビュー

 

『トランスジェンダー女性のためのピッチ調整法:外科的及び非外科的アプローチのシステマティックレビュー』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

トランス女性における外科的/非外科的な声のピッチの変更方法について、22件の研究(N=977)を調査した。


声帯短縮術および前癒合後方移動術(VFSRAC)は平均F0上昇率が最も高く(+73.3 Hz)、次いでウェンドラー声帯短縮術(WG)(+54.1 Hz)、音声治療(+39.9 Hz)、輪状甲状軟骨接近術(CTA)(+30.3 Hz)、LAVA(+26 Hz)の順で高かった。WG+音声治療は同等のF0上昇率(+54.5 Hz)を示した。


TWVQ(Trans Woman Voice Questionnaire)スコアはWG+音声治療で最も改善し、次いでWG、音声治療の順だった。
VHIスコアはLAVAとWGで最も改善し、VFSRACとCTAでは患者報告アウトカムが僅かに改善した。
声帯の肉芽種や音声疲労などの有害事象の発生は、外科治療の併用でより多かった。


結論として、外科的介入と非外科的介入は共に、声のピッチを上昇させ、音声関連のQOLを向上させる。外科的介入はF0の上昇に大きく寄与し、音声治療の併用は患者満足度を高める。これらの知見は、個別化されたケアと、将来の研究における標準化されたPROMの必要性を裏付けている。


Wendler glottoplasty (WG) = ウェンドラー声帯短縮術
cricothyroid approximation (CTA) = 輪状甲状軟骨接近術
vocal fold shortening and retrodisplacement of the anterior commissure (VFSRAC) = 声帯短縮術および前癒合後方移動術
laser-assisted voice adjustment (LAVA):レーザーを用いて声帯の質量を減らすピッチ調整手術
laser-reduction glottoplasty (LRG):LAVAの一種で声帯の張力を高める手術
patient-reported outcome measures=PROM=患者報告アウトカム尺度

 


元ツイート:

 

 

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シス男性およびトランス女性における息漏れ声の知覚聴覚分析および音響分析

『シス男性およびトランス女性における息漏れ声の知覚聴覚分析および音響分析』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

シスジェンダー男性21人,トランスジェンダー男性31人,シスジェンダー女性32人,トランスジェンダー女性31人の、息漏れ声に関連した比較調査。


ABI(気息性嗄声の指標)の値は、トランス男性およびシス女性よりもシス男性で低かった。f0は、シス女性が最も高く、トランス男性はシス男性より高く、トランス女性はシス男性より高かった。


各群間でHNRおよびVTIに有意差はなかった。SPIは、シス男性がシス女性より高い値を示した。
聴覚的知覚では、母音において、トランス男性はシス男性より強い息漏れを示した。


音声による性別判定では、シス男性とシス女性はそれぞれ100%がそれぞれの性別として識別された。母音分析では、トランス男性の声の45.2%が女性として、トランス女性の声の59.4%が男性として認識された。


トランス男性の声がテストステロンにより変化していた場合でも、transglottal airflowは残存しており(*息漏れの残存)、これは女性的な発声の特徴である。


ABI=Acoustic Breathiness Index:気息性嗄声の指標
HNR:高調波対雑音比
VTI及びSPIについて>

 


元ツイート:

 

 

 

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トランスジェンダーおよびシスジェンダー話者における発声による女性らしさ/男性らしさの認識への影響

 

『トランスジェンダーおよびシスジェンダー話者における発声による女性らしさ/男性らしさの認識への影響』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

通常の発声またはささやき声における、女性/男性らしさの聴覚的認識を調査。結果、ささやき声は通常の発声よりも話者のジェンダーを曖昧に評価することが明らかになった。


通常の発声においては、聴取者は一貫してf0による女性/男性らしさの評価を行なっていることが分かった。更に、フォルマント周波数の、特にF2と持続時間(/h/+母音)がジェンダー評価に寄与している可能性が示された。


実験では、トランス女性、シス女性、シス男性の/hVd/の単語(hid、had、hod、who’d)を発生した音声が録音された。聴取者は視覚的アナログスケールを用いて、話者の女性らしさ/男性らしさを評価した。


元ツイート:

 

 

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トランス女性とトランス男性のジェンダー認識における音声マーカー

『トランス女性とトランス男性のジェンダー認識における音声マーカー』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

音声の特徴とジェンダーの認識(女性的,男性的,中性的)との関係を、トランス女性30人とトランス男性23人で調査。


トランス女性では、高いピッチ,適切な構音,上昇調イントネーションが、女性性を示す指標として観察された。トランス女性の声の多くは、低いピッチでも女性的だと認識された。


トランス男性では、より緊張の強い声質,強い音量,下降調イントネーション,男性的なピッチレンジ内の平均fo,ホルモン剤の使用が、男性性を示す指標として観察された。


高いピッチと上昇調イントネーションは、トランス女性/男性のいずれにおいても、女性性を示す指標だった。
上昇調イントネーションはトランス女性の声の女性らしさの聴覚知覚的予測因子であり、F1はトランス男性の声の男性らしさの音響的予測因子だった。


平均foは、トランス女性146.289Hz、トランス男性157.409Hzだった。
これらの声の性別の指標に関する知識は、トランスジェンダーの人々の音声調整における、言語療法の方向性を決める上で重要である。

 


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カストラート歌手パッキエロッティ(1740-1821)の職業マーカーと病理

 

『カストラート歌手パッキエロッティ(1740-1821)の職業マーカーと病理』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

イタリアのカストラート歌手ガスパーレ・パッキエロッティの、2013年の遺体の発掘調査に基づく報告。


骨格や歯の状態からは、彼が死亡した81歳という年齢相応の生物学的マーカーが観察された。一方で腸骨陵に骨端線が見られたが、これは通常は23歳で閉鎖し、35歳以上の男性の90〜100%には見られないものである。


骨端線の残存は、別のカストラート歌手であるファリネッリの腸骨陵にも見られ、カストラートの典型的な特徴と見做すことができる。


尚、ファリネッリには前頭骨内板肥厚症(HFI)が認められ、これを示した論文の著者は去勢と関連づけたが、パッキエロッティの頭蓋骨には見られなかった。他の研究で、去勢を行うキリスト教の一派であるスコプツィ派の男性には、研究対象者の全員に頭蓋骨の菲薄化が明らかに見られたと報告されている。


カストラートは通常、背が高く、大きな樽状胸郭と子供のような喉頭、そして細長くひょろひょろした脚を持っている。パッキエロッティの骨はこれらの特性を持ち、身長は約191cmと推定された。彼の顔は長く、眼窩は狭く、鼻腔は幅が広く大きかった。口蓋は歯槽弓と同じく、短く狭かった。


中等度の下顎前突を伴う上顎の発達不全があり(クラスIII不正咬合)、切端咬合の状態だった。彼のいくつかの肖像画が裏付けているように、下顎角がはっきりしている(*エラが張っている)。歯軋りによる歯の摩耗があり、これはおそらく精神的苦痛によるものと考えられた。


また、明らかな歯のエナメル質の形成不全があり、これは去勢に関連する可能性のある、若年時に受けた外傷に関連した徴候(医学的に確認できるサイン)である可能性が非常に高かった。歯の状態は、全体的には彼の年齢としては良好な状態が保たれていた。


パッキエロッティの肩甲骨の関節下結節は、上腕三頭筋の強い付着による隆起が明確であり、おそらく彼はパフォーマンス中に腕を多く使っていたと考えられる。


パッキエロッティの全ての頚椎は、骨粗鬆症と、歌唱運動に伴う頭頸部の継続的な動き(高音発声時の頭頸部角度craniocervical angleの増加の可能性)のために著しく侵食(eroded)されており、骨棘形成の徴候が見られた。これは歌手の職業的マーカーと見做すことができる。


先行研究によると、歌手の理想的な頚部の姿勢は、肩の位置に対して後頚部が伸びた状態で、頭頚部の回転が制限されない。この姿勢テクニックは、声門上の自由な操作を可能にし、倍音の発達をより容易にする。喉頭レベルの不適切な姿勢は、声の響きだけではなく、呼吸のダイナミクスにも影響する。


歌手の正しい姿勢では、頚椎を直立させて保ち、項部を伸ばし、頚部の前彎と顎の挙上及び突出を避けた状態を維持する。この姿勢は、パッキエロッティの頚椎の進行性侵食を引き起こした。


大きな体格、特に胸囲は、彼の声のパワーと正の相関関係にあり、彼は「extensive soprano(*豊かなソプラノ?)」と評された。


結論としてこの研究は、去勢された歌手の全身骨格における職業的特徴と、ホルモンによる影響を初めて明らかにした。また、一般のプロ歌手の骨格の職業的特徴についても、示唆に富む記述を提供している。


「私たちは過去の偉大な歌手たちがどんな声をしていたのかを、推測することしかできない。しかし、もし私たちが全てのカストラート歌手の歌声を聞くことができたら、パッキエロッティの声は最も私たちを喜ばせてくれるかもしれないと推測する。」

 


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妊娠と声:妊娠後期における変化

 

『妊娠と声:妊娠後期における変化』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

妊娠後期の妊婦44人と非妊婦45人の音声を比較調査。結果、殆どの妊婦は、聴覚知覚評価の異常値,胃食道逆流の発生率増加,鎖骨呼吸優位,MPT短縮,音声強度の増加を示した。


妊婦群では、14人が気息性嗄声(breathiness),5人が嗄声(hoarseness),7人がこの両方を示した。
妊娠中の女性の声の変化は、プロの歌手や話者の仕事のパフォーマンスに影響を与える可能性がある。

 

MPT=maximum phonation time=最長発声持続時間

 

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