huuchiの音楽論文案内

音楽関連の論文案内ツイートを記事にまとめています。過去ツイも順次追加中。

声帯萎縮の病理組織学

 

『声帯萎縮の病理組織学』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/43/4/43_4_432/_pdf

 

 

“声帯萎縮とはいったん正常の大きさまで発育した成人・小児声帯の容積,あるいは声帯の層構造を構成する各組織の容積が単独にあるいは重複して減少し,発声機能が低下する変化と定義できる”


反回神経麻痺では,声帯筋層の容積が単独に減少し,声帯に萎縮が起こる”
“声帯溝症では,声帯粘膜固有層浅層の容積が単独に減少し,声帯に萎縮が起こる”
“レーザーあるいは放射線照射後の声帯組織では,被照射声帯組織の容積が単独あるいは重複して減少し,声帯に萎縮が起こる”


“加齢に伴う声帯の萎縮は,声帯の粘膜固有層と筋層の容積が重複して減少”“特に粘膜固有層浅層の容積の減少が大きく関与”


“臨床的に声帯膜様部が弓状になり,発声時に声門閉鎖不全を生じ,発声機能が低下する病態に対して,従来から声帯萎縮という呼称が用いられてきた.声帯萎縮をきたす疾患はいろいろあるが,声帯萎縮は病態であり疾患名ではない”


“声帯萎縮をきたす疾患としては,反回神経麻痺,声帯溝症,先天性結合組織疾患の一つであるWerner症候群などがある”


〈1.反回神経麻痺〉
反回神経麻痺による声帯萎縮は,神経性萎縮と一部それに伴う無為萎縮(廃用萎縮)であり,声帯筋層(甲状披裂筋)の容積が単独に減少し声帯に萎縮が起こり,発声機能が低下する”


“粘膜固有層に萎縮は認めない”“筋萎縮が高度な部では正常な筋線維はほとんど観察されず,筋線維の間隙は結合組織あるいは脂肪で置換”“筋のこのような変化は,反回神経支配のほかの内喉頭筋(外側輪状披裂筋など)にも認める”


〈2.声帯溝症〉
“声帯溝症による声帯萎縮では,声帯粘膜固有層の浅層の容積が単独に減少し声帯に萎縮が起こり,発声機能が低下する”


“溝の底部では粘膜固有層浅層が薄くなっている.溝は重層扁平上皮に覆われており,粘膜固有層の浅層に存在し,中間層深層には及ばない.溝の深さは0.4~0.6mm”“溝の粘膜上皮の基底膜は肥厚しており,膠原線維からなる”


〈3.レーザーあるいは放射線治療後の声帯〉
“レーザーあるいは放射線照射による声帯萎縮は,照射された声帯組織の容積が単独あるいは重複して減少し声帯に萎縮が起こり,発声機能が低下する”


放射線照射後の声帯では,照射野内の声帯粘膜固有層には,主に膠原線維からなる線維性結合組織の増生が認められる”“レーザー照射後の声帯組織も膠原線維からなる線維性結合組織の増生を認める”
放射線照射野内の甲状披裂筋は萎縮し,筋線維間には間隙が生じ,結合組織が増生している”


〈4.加齢に伴う声帯萎縮〉
“加齢に伴う声帯の萎縮は生理的萎縮(老人性萎縮)”“特に粘膜固有層浅層の容積が減少し9)声帯に萎縮が起こり,発声機能が低下する”


“声帯に器質的・機能的病変がないにもかかわらず,高齢者,特に男性の声帯の膜様部が弓状に萎縮し7~9),発声時に声門閉鎖不全をきたし発声障害を訴えることは臨床的によく知られている”


“声帯萎縮の程度と粘膜固有層との関係(図4b)は,粘膜固有層の厚さが薄い声帯ほど声帯萎縮の程度が大きくなる傾向”“また粘膜固有層の浅層の厚さが薄い声帯ほど,声帯萎縮の程度が大きくなる傾向”
“男女とも声帯筋の断面積と声帯萎縮の程度には明らかな関係はない”


“90歳男性の声帯の水平断標本…前黄斑と後黄斑…その大きさは,約1.5×1×1mmで若年者の黄斑と同じ大きさ”“.声帯の各組織に萎縮を認めるが,特に粘膜周有層の浅層が薄くなっている”“声帯膜様部は前黄斑の内側後縁から後黄斑の内側前縁にかけて弧を描くように弓状になり声帯が萎縮”


〈5.萎縮した声帯組織の萎縮部位〉
“萎縮声帯の萎縮部位を表1に示す.声帯萎縮をきたす疾患・病態はいろいろあるが,各疾患・病態における声帯組織の萎縮部位は異なっている”“声帯萎縮を治療する際には,声帯の組織学的構造を理解し,声帯のどの組織の萎縮なのかを理解することが大切”

 


元ツイート:

 

この記事及び元ツイートは論文(の存在)を紹介するだけの簡単なものですので、詳しい内容についてはリンクから元の論文を参照してください。