huuchiの音楽論文案内

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新生児声帯粘膜の微細構造

 

『新生児声帯粘膜の微細構造』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka1947/100/5/100_5_479/_pdf

 

“新生児の声帯膜様部を透過型電顕で観察”


“成長,発達前の新生児の声帯粘膜は,形態学的に成人の声帯粘膜とは異なっている”“声帯は成長,発達し老化する.成長,発達前の新生児の声帯を形態学的に研究することは声帯の成長,発達,老化を研究する際にも重要”


“先に我々は新生児声帯の黄斑を電子顕微鏡で観察し,新生児の黄斑内の線維芽細胞は膠原線維,弾性線維をすでに活発に産生していること,新生児声帯の黄斑は声帯靱帯の成長と発達にとって重要な構造物であることを報告”“本論文では,振動体として最も重要な新生児声帯膜様部粘膜の微細構造を研究した”


“前後の黄斑部以外の新生児声帯の粘膜固有層の構造は粗であり,全層にわたりほぼ均一であった.粘膜固有層を構成する主なものは膠原線維,弾性線維,基質,線維芽細胞であった.声帯靱帯は認めなかった.膠原線維は比較的発達していたが,弾性線維の発達は悪かった.また毛細血管が粘膜固有層に認められた”


“膠原線維の数は比較的少なく,線維束は声帯遊離縁にほぼ平行に走行していた.膠原線維は多数の膠原原線維からなっており,その太さは約50nmであった.新生児声帯粘膜の膠原線維は成熟した形態をとっていた”


“弾性線維は声帯粘膜固有層内に粗に分布していた.弾性線維はmicrofibrilとamorphous substanceから構成されていた.しかしmicrofibrilが優位でamorphous substanceはあまり形成されておらず,形態的に未熟な構造であった”


“成長発達前の新生児の声帯の構造は成人とは異なっている”“声帯靱帯を欠き,粘膜固有層全体はほぼ均質にみえ,線維成分が乏しく,線維芽細胞,血管は成人より密である”“成人で認められる声帯振動に重要な層構造は,新生児では認められない”


“成人の声帯遊離縁部における重層扁平上皮は,7~8層の上皮細胞からなり5),上皮の細胞間隙は一般に広い5).新生児の声帯遊離縁の重層扁平上皮は,上皮細胞は3~4層,その厚さは約20μmであり,成人に比べて薄かった”


“成人では,粘膜固有層には多くの弾性線維と膠原線維を認め,特に弾性線維は粘膜固有層の中間層に密であり,膠原線維は粘膜固有層の深層に密である1)2).粘膜固有層の浅層にも弾性線維と膠原線維が分布し,振動体として重要な声帯粘膜の粘弾性を決定している”


“新生児声帯の粘膜固有層は基質が豊富で線維成分の発達は乏しかった”“膠原線維は成熟した構造であったが,弾性線維は未熟な構造”“一般的に膠原線維は組織の形態を保ち,弾性線維は加えられた力に対して復元する働き”“弾性線維の働きは,振動体として重要な声帯粘膜の粘弾性に大きな影響を与えている”


“新生児声帯の粘膜固有層では,弾性線維の数が少なくその構造も未熟であったことから,振動体として必要な声帯粘膜の粘弾性が乏しいと考えられた.言い換えれば新生児声帯の粘膜固有層は声帯靱帯を欠いているのみではなく,振動に必要な粘弾性に乏しく,振動体として適した構造とはいえない”


喉頭の形態から機能的な面を考察すると,新生児の声門は発声に有利な形態とは考えにくかった.新生児では発声よりも呼吸が重要である.発声より呼吸に適した声門の形態学的特徴は,生理的にも理にかなったものと考えられた”


“成人声帯粘膜内の毛細血管には血管周皮細胞が存在している5)10).声帯粘膜内の毛細血管壁を取り囲むように分布する血管周皮細胞は,特に発声時(声帯振動時)に毛細血管壁の支持と保護を行っている”


“新生児の声帯粘膜内の毛細血管にも血管周皮細胞が存在し,毛細血管壁を取り囲むように分布していた.生直後より始まる発声に備えて,毛細血管壁の支持と保護を行っていると考えられた”


microvilli=声帯の重層扁平上皮表面の微絨毛

 


元ツイート:

 

 

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