huuchiの音楽論文案内

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声帯の弓状変化の定量的評価と各種パラメーターについての臨床的検討

 

『声帯の弓状変化の定量的評価と各種パラメーターについての臨床的検討』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/larynx1989/17/1/17_1/_pdf

 

 

“声帯の弓状変化は,反回神経麻痺や声帯溝症などの疾病や,レーザー手術などの後に見られる所見”“器質的・機能的疾患がない高齢者でも見られる”


“弓状変化の原因は,例えば反回神経麻痺では声帯筋の萎縮4)であり,声帯溝症では声帯粘膜の菲薄化・硬化”“レーザー手術後の弓状変化は声帯の瘢痕化”“声帯の弓状変化があると,気息性の嗄声を始め様々な音声障害が生じる”


“本研究では,反回神経麻痺の際に生じる声帯の弓状変化の程度を定量的に計測し,種々のパラメーターとの関係を検討した”“音声改善のためにシリコン注入術を行った一側性反回神経麻痺の患者287名”“男性が183名,女 性が104名…最年少は17歳,最高齢は86歳,平均年齢60歳”


“全287名の弓状変化の結果を度数分布にして図2に示した.全体の弓状変化の平均は11.5%”“弓状変化の程度は,5%~15%の症例が236例あり,全体の82%を占めた.最も小さい弓状変化の程度は2%,大きなものは44%”


“弓状変化の程度は,10~30歳代の平均は8.3%であったが,40歳代以上では11.7%”“40歳代を境に,年齢が上がるにつれ弓状変化の程度は大きくなる傾向”


“原因は甲状腺,肺,縦隔,食道の各疾患による,あるいはその手術によるもの,原因の不明なもの,その他の6群に分類”“甲状腺疾患が最も多く71例24.7%,ついで肺疾患が67例23.3%,食道疾患が64例22.3%,縦隔疾患が34例11.8%”


“弓状変化の程度は,肺疾患によるものが12.2%と最も大きく,ついで原因不明のもの12.1%であった.以下,甲状腺疾患11.7%,縦隔疾患11.4%,食道疾患10.7%であった”


“弓状変化の程度とMPTとの間に有意差は認めなかった”
*MPT=最長発声持続時間


“平均呼気流率”“反回神経麻痺では声門閉鎖不全があり,この値は著明に大きな値を示すことが多い.今回の検討でもほとんどが正常より高くなっていた”“弓状変化の程度との関連は認めなかった”


“声の高さ域 (FOrange)”“正常範囲は18~24semitone”“多くの症例が18semitone以下と高さ域が狭かったが,特に弓状変化の程度が8%以上の症例では,変化が大きくなるほど狭くなる傾向があった.しかし,統計学的な有意差は認めなかった”
*FOrange=声の高さ域=声域


“弓状変化が大きくなると,高い声を出そうとして声帯を緊張させても声帯が十分に伸展しなくなると考えられ,この逆に,声帯の弛緩もうまく行えなくなっているものと考えられる.従って,音の高さ域が小さくなっているものと推測される”


“病悩期間との関係では,270日を境に弓状変化の程度が小さくなっていた.当初は,弓状変化の程度は病悩期間とともに大きくなるものと考えていたが,270日を境に逆転していた.この原因については,今回の検討では明らかにならなかったが,なんらかの代償機能が働いているものと考えられる”


誤嚥との関係でも,弓状変化の程度とは関係を認めなかった.既に報告されているように,声門閉鎖不全のみが誤嚥の原因ではない12)ことに加え,弓状変化の程度とも関係が見られなかった”

 

 

元ツイート:

 

 

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