『加齢に伴う話声位の変化』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/46/2/46_2_136/_pdf/-char/ja
“要約:健常発話者男女各187例,計374例を対象として,青年期以降の加齢に伴う話声位の変化について検討し,主に以下の結果を得た”
“1.男性では60歳代までは変化は乏しく,70歳代以降に多少の上昇が認められた.”
“2.女性では20歳代と比較して30歳代および40歳代でも明らかな低値を認め,80歳代まですべての年代群で加齢に伴い低下する傾向が認められた.”
“3.男性と比較して女性のほうが,変化の範囲が著しく大きかった.”
“話声位は言語により若干の差異が認められる…Hanleyら 15)は大学生の女性8名の測定値を,Yamazawaら 16)は一般成人女性32例の測定値を示し,ともに他の言語と比較して日本語では高くなると報告”
“音声トレーニング経験については,Brownら 4)がソプラノとテナーのトレーニング経験のあるものは男女でともに話声位は高い傾向にあると報告”
“表7,8に,男女両群の年齢群ごとの正常範囲として平均±1.96SDを示した”
※表7は「男性のSFFに関する正常範囲」が正しく、「女性の〜」は誤字です。
男性:
“20歳代と比較して,70歳代では10.8Hz,80代では14.8Hzの上昇が認められた.以上から,日本人男性の話声位は60歳代までは変化は小さく,70歳代以降に若干の上昇が認められる傾向にあるといえる”
“老人男性…形態的変化の特徴として,声帯の弓状化,萎縮,声帯溝形成を指摘し,声門裂後部に間隙を呈する者が76%いたと報告し,これが老人男性におけるピッチの上昇に関与していると推察”“Honjoら 14),佐藤ら 25),千々和ら 26)も…声帯膜様部が弓状に萎縮して声門閉鎖不全をきたす傾向があると報告”
“具体的メカニズム…加齢に伴い声帯の外方の筋にゆるみを生じて声帯自体がゆるみ,これによって男女ともにピッチが低下するが,男性の場合には同時に声帯筋断面積の減少が起こり,これが声を高くする要因として働くため,この2つの要因のバランスによってピッチの変化に個人差が生じうるという仮説を提唱”
女性:
“20歳代の話声位は226.1Hz”“日本人青年女性を対象とした声の基本周波数に関する先行報告例では225~226Hz程度の範囲でほぼ一致”“この値と比較して,50歳代,60歳代,70歳代,80歳代でそれぞれ36.0Hz,39.0Hz,55.5Hz,58.2Hzも低下”
“欧米の横断的データから指摘されてきた以上に,日本人女性では話声位が低下することが示唆”
“多数の研究者は,閉経後…エストロゲンの分泌量の減少が,喉頭の組織的変化を招いて基本周波数の低下を引き起こしていると推察”“Honjoら 14)は閉経後の内分泌的変化が浮腫などの組織的変化に関与していると推察”“Hiranoら 31)は浮腫によって生じた声帯の容積の増大が声帯の振動速度を低下させると推察”
“閉経に伴う女性ホルモンの減少が著しくかつ普遍的に生じるものであるにもかかわらず,今回の結果では,1)30歳代でもすでにSFFに低下が見られたこと,2)閉経後と推定される60歳代以降でも低下したことから,SFFの低下について論じるにあたり「閉経後」と時期を特定することはできない”
元ツイート:
加齢に伴う話声位の変化 https://t.co/YNVnR6rk3M pic.twitter.com/xbIhcgpUeY
— 風地@毎日音楽の話を(も)しています (@huuchi) 2023年3月10日
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