『つながり:身体接触を伴う合唱中の心拍と呼吸のパターンの同期』
プロ歌手8人が互いの肩などに触れた状態でのポリフォニー音楽の歌唱時の、呼吸と心拍の同期について調査。接触しながら歌うというアイディアは、アンサンブルのパフォーマンス場面の歴史的な描写から得られた。
歌手は、(a)半円状に配置され中央に指揮者、(b)4人ずつ2列に集まり指揮者は横に座る、(c)配置はbと同じだが腕や手による歌手間の身体的な接触がある、の3通り(図2を参照)で、心拍と呼吸を測定されながら、後述のデプレ及びデュファイの曲を歌った。
結果、(c)の接触有り歌唱の場合、呼吸の同期が見られた。これまでの研究では、合唱により呼吸と心拍変動の同期が促進されることが示されていたが、この研究では、身体接触を伴う歌唱では呼吸の同期が更に促進されることが明らかになった。
また、部分的なパートが歌っている時より、全ての歌手が歌っている時の方が、身体接触による呼吸の同期の作用は強かった。
但し、この呼吸の同期は、歌手が、ユニゾンしている者同士かどうか、歌っている者同士かどうか、歌わずに聞いている者同士かどうかといった、同じ動作をしているかどうかであったり、あるいは立ち位置や接触の有無によっては、完全には説明できなかったことは重要である。
この研究結果は、アンサンブルにおいては全ての歌手がより高いレベルで組織化され、同じ目標を共有する包括的なシステムを形成していることを示唆している。
研究参加者:ルネサンス音楽に精通したプロ歌手8人(男性6人、女性2人/アルトゥス、テノール、バッスス、スペリウスが各2人ずつ)、男性指揮者1人
使用された曲は、ジョスカン・デプレのモテット『Virgo prudentissima』及び『Tu solus qui facis mirabilia』の第二部のみ、ギヨーム・デュファイのミサ曲『Ecce ancilla domini/Beata es Maria』よりKyrie、Gloria、Agnus Dei。
*原著タイトルの頭の「in touch」には、接触するという意味の他に連絡するという意味があり、歌手間の同期のネットワーク構造について述べられているこの論文のタイトル訳として、意訳になりますが、どちらの意味も表せる言葉「つながり」を使用しました。
*使用された曲は、研究参加者であるアンサンブルのレパートリーの中から選ばれました。
元ツイート:
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— 風地@毎日音楽の話を(も)しています (@huuchi) 2024年9月3日
プロ歌手8人が互いの肩などに触れた状態でのポリフォニー音楽の歌唱時の、呼吸と心拍の同期について調査。接触しながら歌うというアイディアは、アンサンブルのパフォーマンス場面の歴史的な描写から得られた。 pic.twitter.com/WMlIKuRMNR
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