huuchiの音楽論文案内

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メタリックボイス:生理的および音響的特徴

 

『メタリックボイス:生理的および音響的特徴 』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

メタリックボイスの特徴をプロ歌手21人で調査。メタリックモードの母音エの発声では、口蓋帆の下制,咽頭壁の内側化,喉頭の挙上,披裂喉頭蓋ひだの狭窄,喉頭管の側方狭窄などの声道調整が頻繁に見られた。


メタリックボイスではF1の周波数と振幅に大きな変化は無かったが、F2,F3,F4の振幅とF2の周波数は大幅に増加した。F2の上昇は、硬口蓋領域を狭めて咽頭腔を広げる舌の前方移動と関連する。
より大きく感じられるメタリックボイスは、F3,F4の振幅の増加と相関していた。


メタリックモードの発声では、より多くの筋肉が動員されているようである。
咽頭,咽頭,喉頭の生理学的調整はメタリックボイスの音色の特徴に関わり、フォルマントパターンと音響的に関連する可能性がある。


参加者の一人(メゾソプラノ)は咽頭筋の等尺性収縮のみでメタリックモードの発声を達成していた。咽頭壁が硬くなることで高調波が強調され、金属的な音質を声に与えることが先行研究で示されている。また、メタリックボイスでは、舌奥の隆起、笑った時の唇の位置も見られる。


口蓋帆の下制は口蓋舌弓と口蓋咽頭弓の収縮と関連している。
口蓋帆が下がっていた10人の参加者のうち、喉頭の上昇が無かったのは1人だけだった。
尚、口蓋帆の下制は鼻咽頭閉鎖不全を意味しないことを強調する必要がある。


クラシック歌手は歌唱フォルマントと呼ばれる3kHz付近の強化された周波数帯域を持っているが、これは本研究でも観察された、声門の前後の狭窄と関連している。


分析に使用されたメタリックボイスのサンプルは、声質評価の経験がありメタリックモードパターンに精通した3人の言語聴覚士の、3人共がメタリック発声であると判定したもののみが使用された。


その他先行研究メモ:成人女性が「少女の声」を出す時にはF2の周波数が高くなりF3に近くなる。


参加者:健常なポピュラーまたはクラシックジャンルのプロ歌手24人(ソプラノ4人,メゾソプラノ9人,アルト1人,テノール4人,バリトン3人)。
内7人には声帯結節があったが、結節の存在はメタリックボイスの生成に干渉しなかった。


メタリックボイス metallic voice=所謂「鳴る声」、甲高い、明るい、綺麗な、鋭い、といった聴覚印象を持つ声。知覚的な音声分析に慣れていない一般の人には、鼻声や高音の声と混同されることがある。


pharyngeal pillars=口蓋舌弓と口蓋咽頭弓のこと。anterior pillarが口蓋舌弓で、posterior pillarが口蓋咽頭弓。


*念のため書き添えますが、音楽ジャンルのメタルの歌手の声のことではありません。

 


元ツイート:

 

 

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