huuchiの音楽論文案内

音楽関連の論文案内ツイートを記事にまとめています。過去ツイも順次追加中。

Water resistanceにおける訓練効果について一声の高さにおける検討一

 

『Water resistanceにおける訓練効果について一声の高さにおける検討一』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/larynx/32/02/32_117/_pdf

 

“Water resistanceとは,semi-occluded vocal tract exercise(SOVTE)という音声治療手技の一つ”“水が入った容器にストローを差して発声しながら息を吹き込むもの”


“SOVTEは,声帯以外の声道のどこかに閉鎖あるいは狭窄を作ることで,呼気圧や口腔内圧が高まり,発声動態や声道共鳴の改善を図る音声訓練である.ハミングやリップトリルなどがこの手技に入る”


“high-pitchの発声でwater resistanceをおこなうhigh-pitched blowing exercise 2)に着目し,臨床で活用”“54歳女性,主訴は高音がでない. vocal function exercise(VFE)をおこなうも効果がなかった症例”


“訓練前,発声時に声門後部の間隙を特に高音発声で認めた(図1a).この症例にhigh-pitched blowingを施行すると,後部声門間隙が小さくなっていく(図lb).この症例に対してhigh-pitched blowing exercise訓練したところ,発声時声門後部の間隙が消失し(図lc),高音発声が可能となった.”


“そこでわれわれは “high-pitched blowing exerciseは音声機能改善につながるか” を検証するため,声の高さによる訓練効果の検討をおこなうこととした”


“被験者を無声群・話声群・胸声群・頭声群の4群,各10人”
“無声群:無声でblowingを20同/セット
話声群:話声位(地声)でwater resistanceを20回/セット
胸声群:話声位でwater resistanceを10回/セットの後,胸声位(地声で発声可能な高音発声で話声位から6半音以上で楽に発声可能な高さ)でwater resistanceを10回/セット
頭声群:話声位でwater resistanceを10回/セットの後,頭声位(裏声で被験者が楽に発声可能な高さ)でwater resistanceを10回/セット”


“1回の手技はblowing可能な最長時間でおこなうこととし,これらを毎日2セット,連続15日間実施”
“訓練時の姿勢は坐位で背筋を伸ばし,顔は正面”“同一のストロー(径6mm,市販)とlLのペットボトルを使用”“ストローの先端は水面から10cmの位置を保ち,一定の強さと声の高さでおこなうよう指導した(図2)”


“結果”
“MPTは胸声群で有意な延長がみられた”
“周波数は話声群のみ上昇傾向がみられた.音圧レベルは頭声群で有意に上昇…話声群,胸声群で上昇傾向がみられた.AC/DC比では有意差はなかったが、話声群,胸声群,頭声群において上昇傾向がみられた”


“生理的声域は胸声群で874.6Hzから1024.3Hzに,特に頭声群で763.1Hzから971.7Hzに有意に拡大”“地声,うら声ともに胸声群,頭声群で声域は有意に拡大”


“APQは無声群以外の3群で有意に低下”“PPQでは各群ともに訓練前後で有意差を認めなかったが,胸声群,頭声群で減少傾向”“HNRは話声群,胸声群で有意な上昇…頭声群では上昇傾向”
“VHIでは話声位,胸声位群にて有意にスコアの減少を認めた”


“結果を表2にまとめた.値は全て平均値である.無声群では変化がみられなかった.胸声群で有意差がでた項目が最も多かった.声域の拡大は頭声群が最も良い結果となった”

 

AC/DC比:呼気をどの程度声に変換できたかを示す喉頭の能率指標で、病的な喉頭(声門閉鎖不全)では正常喉頭より値が小さくなる。
APQ=amplitude perturbation quotient:振幅変動率。声の強さのゆらぎを示し、粗糙性が高いと値が上がる。
PPQ=pitch perturbation quotient:周期変動率。声の高さのゆらぎを示し、APQ同様、粗糙性が高いと値が上がる。
HNR=harmonics to noise ratio=H/N比:高調波対雑音比。この値が大きいほど嗄声(声の含まれるノイズ)の度合いが低い。
VHI=Voice Handicap Index:音声障害の自覚的評価尺度

 

元ツイート:

 

この記事及び元ツイートは文献(の存在)を紹介するだけの簡単なものですので、詳しい内容についてはリンクから元の文献を参照してください。