huuchiの音楽論文案内

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音楽療法士を対象とした発声訓練プログラム─開発に向けた予備的研究─

 

音楽療法士を対象とした発声訓練プログラム─開発に向けた予備的研究─ 』

www.jstage.jst.go.jp

 

 

“音声障害が起こりやすい職業には,歌手,学校教員,アナウンサー,保育士等の,いわゆるprofessional voice usersが挙げられる”“男性教諭よりも女性教諭において音声障害の訴えが多いこと 2-5),リスクの高い教科の一つに音楽が挙げられること 5-7)が報告されている”


音楽療法士も,女性の比率が全体の9割近くと高く…音楽教科の女性教員と類似した状況”“歌唱は対象者の声域に合わせるので,音楽療法士はみずからの声域とは関係なく,広い音域で歌えなくてはいけない”“対象者の歌唱をリードする必要性から,安定した音高で,かつ響きの豊かな声で歌う技術は必須”


音楽療法士が発声に関する適切な技術や正しい知識をもつことは,自身の音声障害を防ぐ意味でも,また,音楽療法の対象者である患者に健康的な発声・歌唱のモデルを示すためにも,必須の条件”


“「地声・裏声をまたぐ広い声域の獲得」「話声の声質の向上」「歌声における音高の安定性と響きの改善」「音声障害の予防」に即した内容の発声訓練プログラムを新たに考案・実施”“効果を検討する予備的研究を行った”
“2回の声のワークショップと1週間にわたる自宅学習からなる発声訓練プログラム”


“プログラムは,音楽療法音楽学の研究者が臨床上・音楽上のニーズを踏まえて大枠を作り,内容や効果の評価方法には,本研究のメンバーである各専門分野の研究者,すなわち,音声学,音響工学,音声言語病理学,声楽教育学 注2)の専門家の意見を取入れた”


“注2) 声楽教育学(vocal pedagogy)のこと.米国の音楽療法士認定カリキュラムでは,大学によって音楽教員養成課程との共通科目として課している場合がある.なお,本研究の共著者には,米国で声楽教育学を学んだ声楽家が含まれている.”


*vocal pedagogyの訳語には、声楽教育学の他に、歌唱教育学や音声教育学があります。


“(1)身体のウォーム・アップ 訓練のねらい:声が発声器官だけでなく,呼吸,構音を含む一連のシステムによって生成されることを理解する.歌唱時には,喉頭,頸部,胸部の筋肉群の過緊張を避けること,横隔膜呼吸を補助する体幹の筋群や,それをささえる下肢を適切に使う重要性を学ぶ.”


“(2)ボーカル・ウォーム・アップ 訓練のねらい:地声・裏声という,振動様式の異なる声区について説明し,音楽療法士にとって,その声区間をスムースに往き来できる発声技術と,広い声域が必要であることを確認する.また,そのための実践編1の課題を行う.”


“さらに,息漏れやざらつきの少ない話声の質と,響きが豊かで安定した音高での歌唱技術を獲得する必要性を確認する.また,そのための実践編2の課題を行う”


“(3)声の衛生指導 指導のねらい:粘膜組織と筋肉から成る声帯の解剖学的成り立ちを概説する.発声器官の健康管理における日常生活上の留意点について理解を促す.”“発声訓練や歌唱は,発声器官を最大限に使う「運動」と考えるともできること,それゆえに毎日の訓練の積み重ねが大切であることを伝える”


“結果,MPTおよび声域など,発声機能については両被験者とも改善した.ボーカル・ウォーム・アップで行った呼気のコントロールや声域を最大限に使う発声訓練の効果が反映されたものと思われる”


“LTASについては,どちらの被験者にも大きな変化は見られなかった.声の響きの改善には,呼気の安定や喉を詰めない発声だけでなく,声道の形状を調整する高度な技術が不可欠なので,より長期間にわたる訓練が必要と思われる”

 

 

元ツイート:

 

 

この記事及び元ツイートは論文(の存在)を紹介するだけの簡単なものですので、詳しい内容についてはリンクから元の論文を参照してください。