huuchiの音楽論文案内

音楽関連の論文案内ツイートを記事にまとめています。一部、論文化されていない研究の紹介も含みます。

知覚されるビブラートとSPRはオペラ歌唱における総合評価を説明する

 

『知覚されるビブラートとSPRはオペラ歌唱における総合評価を説明する』

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

オペラ歌手のキャリアに大きく関わる歌唱コンクールでの、審査員の評価に影響する要因を、日本人の女性歌手10人で調査。


研究参加者による『Caro mio ben』歌唱の録音を専門家4人が聞き、ビブラート,共鳴,音色,ディクション,イントネーション,表現力の6つを評価し総合点を付与した(総合得点の満点は100点)。その後、singing power ratio(SPR),HNR,loudness units full scale (LUFS)などの音響特性を算出した。


結果、表現力と発声コントロールを反映するビブラートと、高周波帯域(2〜4kHz)における相対的なパワーを示すSPRが、総合得点を説明する上で重要な要因であることが示唆された。


ビブラートの評価は、その幅(vibrato extent)によって有意に予測されたが、速度(vibrato rate)によっては予測されなかった。これは、専門家によるビブラートの評価において、ビブラートの振幅の方が重要であることを示唆している。


尚、ビブラートの幅が大きいほど、感情表現と声の成熟度が高いことが、先行研究で示されている。
ビブラート速度による評価への影響が見られなかったのは、他の研究によれば、知覚的に許容される5〜7Hzの範囲内での、歌手ごとの速さの変動が少ないためと考えられる。


研究参加者:クラシックを専門とする女性歌手10人(音大在学中、または卒業、または音大と同等の専門的な訓練を受けている者)


singing power ratio=SPR=歌声の共鳴に関する尺度。SPRの値が大きいほど歌唱フォルマントが強い。
HNR=harmonics to noise ratio=H/N比=高調波対雑音比:声に含まれるノイズの度合いを示す。
loudness units full scale (LUFS):耳で感じる音の大きさ(ラウドネス)を示す指標。

 


図2
A. 総合得点が最も高い歌手
B. 同、中程度の歌手
C. 同、最も低い歌手
『Caro mio ben』のクライマックスのフレーズのB♭の音の分析

 


元ツイート:

 

 

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