huuchiの音楽論文案内

音楽関連の論文案内ツイートを記事にまとめています。過去ツイも順次追加中。

2022-01-01から1年間の記事一覧

レジスターでのプロのオペラテナーの声道構成

『レジスターでのプロのオペラテナーの声道構成』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov プロのオペラテナー歌手10人のC4→A4の音階歌唱時の声道をrt-MRIで観察。地声→ミックス移行時には咽頭と唇と顎を開き、顎の突出を増やしていた。これらの動きについて、「軽い」テナ…

グロッタルホイッスルのピッチプロファイル(M4)

『グロッタルホイッスルのピッチプロファイル(M4)』 semanticscholar.org 一般にglottal whistleの名前で知られるM4は、M3(ホイッスルレジスター)よりF0が高く、音域が広く、頻繁に混じる二重声を特徴としており、現代音楽などで使用される。F0は主に1〜3k…

女性ラインケ浮腫における喫煙による音声変化は顕微鏡視下手術及び禁煙後に完全に可逆的か?

『女性ラインケ浮腫における喫煙による音声変化は顕微鏡視下手術及び禁煙後に完全に可逆的か?』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 喫煙女性のラインケ浮腫(声帯ポリープ)の術前/後の音声パラメータを非喫煙健常女性の対照群と比較。GRBASI尺度とMPTは術後に大幅に改…

小声症の新しい治療法:トゥワング療法

『小声症の新しい治療法:トゥワング療法』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 発声障害の音声療法は通常は音源(声帯)に対処するが、この研究では上喉頭/声道フィルタの変更により声のパワーを上げる手法としてのトゥワングを小声症患者6人で調査。結果、MFRが減りMPT…

MRIを用いたトワングの特性についてのパイロット研究

『MRIを用いたトワングの特性についてのパイロット研究 』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov プロ歌手兼教育者2人のイ母音での話声とトワング発声をMRIで調査。話声と比べトワングでは、咽頭が狭く/横方向の距離が大幅に短く/喉頭位置が僅かに高く/鼻咽腔が閉じてい…

音楽医学.神経生物学的アプローチ

『音楽医学.神経生物学的アプローチ』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 音楽医学は世界の殆どの国にとって比較的新しい医療の専門分野である。この論文では、脳の構造と機能やホルモン及び免疫パラメータにおいて、音楽家が非音楽家と異なることを示す神経生物学的…

プロ歌手のパッサッジョ領域に対する声帯腫瘤病変の影響

『プロ歌手のパッサッジョ領域に対する声帯腫瘤病変の影響』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 器質性発声障害の歌手(女性4人男性3人)の低音→パッサッジョ→高音での声帯振動を観察。歌手4人で換声領域に声の不規則性有り。病変が換声領域に影響を与えなかった歌手3人…

職業歌手の声帯微小病変―垂直方向の位置からみた手術適応について―

『職業歌手の声帯微小病変―垂直方向の位置からみた手術適応について―』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/larynx/32/02/32_129/_pdf 性別と、クラシックorポピュラーによって、声帯微小病変(声帯結節あるいはそれに類似する病変、ポリープ、浮腫なども…

歌声に対する喉頭蓋谷の動的作用-3Dプリント声道を使った探索的研究

『歌声に対する喉頭蓋谷の動的作用-3Dプリント声道を使った探索的研究』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov テナーのオペラ歌手からMRIで収集された声道データで、複数の母音の歌声の喉頭蓋谷の音響的影響を調査。喉頭蓋谷の容積が大な場合は歌唱フォルマントを阻害し…

中咽頭収縮筋付着部の肉眼解剖学的観察

『中咽頭収縮筋付着部の肉眼解剖学的観察』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 41の死体による咽頭及び隣接する筋の肉眼的解剖学調査。中咽頭収縮筋は茎突舌骨靭帯と舌骨から起こり、3つの重なり合う繊維グループに分けられる。 前上方群は茎突舌骨靭帯と舌骨小角から…

下角輪状筋:発生学的および解剖学的研究

『下角輪状筋:発生学的および解剖学的研究』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 下角輪状筋は、胎児喉頭34のうちの23%/成人喉頭90のうちの14%に存在し、いずれの群でも側性に有意差は観察されなかった。輪状軟骨板と甲状軟骨下角に付着し、輪状甲状関節の関節包内に…

関節リウマチ患者の輪状甲状関節の異常

『関節リウマチ患者の輪状甲状関節の異常』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 関節リウマチ患者11人と健常な対照8人の喉頭を比較。患者の半数は声域の喪失(縮小)があり、3分の2は声の疲労があった。嗄声の経験は対照群25%、患者群36%。最長発声持続時間MPTの大幅な…

男声・女声の嗜好に関する歴史的分析 声をめぐるジェンダー的視点と学校音楽教育 

『男声・女声の嗜好に関する歴史的分析 声をめぐるジェンダー的視点と学校音楽教育』 https://sucra.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=16327&file_id=24&file_no=1 “急には変わることのない男声、女声の声の高さが変化している”“服部の指摘は…

月経周期,発声能力,および喉頭血管の所見:17人の被験者の観察研究

『月経周期,発声能力,および喉頭血管の所見:17人の被験者の観察研究』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 月経周期における喉頭の状態変化を調査。喉頭の血管状態はプロゲステロンレベルの変動と相関して変化しており、月経前の喉頭の鬱血増加を示唆し、特定の女性…

ヒトの斜甲状披裂筋:独立筋または副腹?

『ヒトの斜甲状披裂筋:独立筋または副腹?』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 斜甲状披裂筋(obliqueTA)の有病率と形態学的変異を死体50体の片側喉頭100例で調べた。36例の片側喉頭に斜腹があり、28例では起始停止が一定で甲状軟骨板の内部表面の前上方領域から披裂…

麦粒軟骨:忘れられた軟骨

『麦粒軟骨:忘れられた軟骨』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 麦粒軟骨の欠如は甲状軟骨上角の長さに関連する。麦粒軟骨が片側のみ有る場合、両側の甲状軟骨上角の長さは1.6mmと1.7mmで有意差無し。麦粒軟骨が両側共無い場合の甲状軟骨上角の長さは1.8mmで、有る…

麦粒軟骨の有病率と分布

『麦粒軟骨の有病率と分布』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 1450人(女性785人/男性665人)の麦粒軟骨の有病率、分布、椎間レベル、形状、骨化度を調査。全体の57.4%(女性51.3%、男性64.7%)は少なくとも1つの麦粒軟骨を持っていた。両側にある方が一般的。位置はC2…

咽頭の内面での機能に関連した咽頭挙筋群の解剖学的考察

『咽頭の内面での機能に関連した咽頭挙筋群の解剖学的考察』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 44の標本の咽頭挙筋群を調査。咽頭挙筋群の口蓋扁桃/喉頭蓋/披裂軟骨/梨状陥凹/甲状軟骨/咽頭後壁への付着を確認。これは咽頭筋が嚥下以外に、喉頭軟骨への付着を介して…

糖尿病の声への影響:系統的レビュー

『糖尿病の声への影響:系統的レビュー』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 糖尿病患者は一般集団と比べて音声障害の有病率が高く、胃食道逆流症関連の症状を持つ割合も高く、より高いRSIスコア及びVHIスコアが報告されている。他に、喉頭病変、嗄声、過緊張発声の増…

成人期に絶対音感を獲得することは不可能か?

『成人期に絶対音感を獲得することは不可能か?』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 12〜40時間の絶対音感訓練により、参加者の成人43人のうち6人(14%)が、90%以上の精度で12のピッチの音名判定が可能になった。この精度は一般的に定義される絶対音感保持者に匹敵す…

性同一性におけるマガーク効果:音声判定において視覚は聴覚に優る

『性同一性におけるマガーク効果:音声判定において視覚は聴覚に優る』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 男女それぞれが同じピッチで単音節を歌っているヴィデオを参加者に示し、声の性別を判別させた。音声と映像の性別が不一致の条件(例えば音声は女性で映像は男…

歌手における歌唱ジャンルと音声外傷性声帯病変の関連

『歌手における歌唱ジャンルと音声外傷性声帯病変の関連』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 歌のジャンルによって音声外傷性声帯病変の、①発生率が異なるか、②種類が異なるか、を調査。 研究①:発声障害のある歌手712人のうち191人(26.8%)が音声外傷性声帯病変と診…

教会ゴスペル歌手における声道症状と現代歌唱のハンディキャップ尺度との相関関係

『教会ゴスペル歌手における声道症状と現代歌唱のハンディキャップ尺度との相関関係』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ゴスペル歌手100人(男女各50人)の①声道不快症状、②知覚される声の障害の相関関係と性差を調査。結果、女性歌手は①の頻度と強度が高く②のMSHIの…

喉頭の前交連のレベルの解剖学的研究

『喉頭の前交連のレベルの解剖学的研究』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 剖検後の男性52人/女性48人(25〜80歳)の喉頭を調査。結果、前交連のレベル(上下位置)は、男性はやや上寄り、女性ではやや下寄りであることが示された。 ツイート主による補足:前交連のレベ…

甲状軟骨形成術II型成功のための前交連周囲の臨床組織解剖

『甲状軟骨形成術II型成功のための前交連周囲の臨床組織解剖』 www.jstage.jst.go.jp “甲状軟骨形成術II型は,甲状軟骨を正中で切開・離断し両外側へ開大することによって前交連を開大し,声帯を外方へ移動させることによって過度の声門閉鎖による音声障害を…

専門家の教育実践の内容分析による「オープンスロート」の定義

『専門家の教育実践の内容分析による「オープンスロート」の定義』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 歌唱教育で頻出する言葉「オープンスロート 喉を開く」の定義を15人の経験豊富(後述)な歌唱指導者に聞き取り調査。結果この言葉は「咽頭腔の最大化」及び/または「…

クラシック歌唱における「頭部共鳴」と「インポスト」の鼻腔内視鏡研究

『クラシック歌唱における「頭部共鳴」と「インポスト」の鼻腔内視鏡研究』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov クラシック歌唱教育では正確な定義の無い多くの概念を使用している。この研究ではその中の「頭部共鳴」と「インポスト」の実態を調査した。 歌の教本では…

歌唱のコントロールパネルとしての鼻の筋肉組織-なぜクラシック歌手は特殊な顔の表情を使うのか?

『歌唱のコントロールパネルとしての鼻の筋肉組織-なぜクラシック歌手は特殊な顔の表情を使うのか?』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov クラシック歌手が声種/ピッチ/母音に依存せず行っているように見える、歌唱時に鼻孔を広げ頬を上げた特徴的な「歌手の表情」に…

顔型は年齢による舌骨位置の変化の予想に使えるか?縦断的データに基づく展望

『顔型は年齢による舌骨位置の変化の予想に使えるか?縦断的データに基づく展望』 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 163人の正常な白人男性(30-72歳)の舌骨位置の、15年間隔での経時的な位置変化を評価。舌骨の垂直位置の変化は、長顔型の被験者では有意だったが、短…

内転型痙攣性発声障害に対する甲状披裂筋切除術

『内転型痙攣性発声障害に対する甲状披裂筋切除術』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/larynx/26/2/26_93/_pdf/-char/ja “甲状披裂筋切除術(内筋切除)は…内転型痙攣性発声障害(ADSD)の外科的治療方法として甲状軟骨形成術II型(II型)とともに有用な方法”…